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生命倫理のひろば

生命倫理に関わるみなさんからの質問に研究者が回答し、議論を共有することを目的としています。
みなさんからのご質問お待ちしています。

 

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【これまでの質問】

2019年05月07日

近親婚禁止と優生学

投稿者:ポトス

失礼します。
私は法学を主に勉強しています。
さて、最高裁判例(最判平成19年3月8日民集61巻2号518頁。http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=34239) では、近親婚を禁止する民法734条1項について「社会倫理的配慮及び優生学的配慮という公益的要請」を理由としています。
しかし、優生学的配慮で婚姻禁止にするのが許されるなら、高確率で遺伝する障がいや難病を持つ人にすら婚姻を禁止できることになりかねないと思っています。(そちらも禁止しろと考えるなら整合性の問題はないかもしれませんが、私は支持しません。)
また、子を持つつもりがないカップルからも一律に婚姻の機会を差別的に奪う点もあります。
同性婚の法制化が議論されますし、(法律婚制度廃止しない前提なら)同性婚は認めてよいと感じますが、近親婚、中でも特にきょうだい婚は認められてよいと考えています。
「優生学的配慮」などを理由に近親婚を国家が禁止することは、(特に旧優生保護法が問題視される昨今、)整合性を保った形で合理的な説明が可能なのでしょうか。
この点、法の下の平等を保障した日本国憲法があるのに、なぜか管見の限りでは法学の世界でも近親婚規制の差別性の議論があまりされていないように感じています。

2018年12月03日

ゲノム編集技術による子どもの誕生について

投稿者:mm

ゲノム編集技術を用いて操作した受精卵から赤ちゃんが誕生したとのニュースがありました。2点、先生方のご意見をお聞かせいただけませんでようか。

1.生まれた赤ちゃんは、この後、通常の権利を持って生活することはできるのでしょうか。例えば、子孫を残すことはできるのでしょうか?

2.今回のニュース報道から、遺伝性の疾患を遺伝させずに子を授かる技術が実用化されている国がある、としてメッセージを受け取る人がいるように思いますが、その観点から、どのような議論がなされているのでしょうか。

一般的なところのみならず、先生方の個人的な見解もお聞かせいただけましたら幸いです。

2018年02月14日

培養肉と動物倫理学

投稿者:N

最近培養肉というものが開発されていますがそれについて動物倫理学の理論的にどうなんですか?
シンガー流の考え方ならまず認められそうですがレーガン的な考え方の場合はどうなんでしょうか?
あと前の質問は理論的なものですが培養肉に対して動物倫理学界では培養肉に対してどのような評価なのでしょうか?
動物愛護団体などの見方などはよく見るのですが動物倫理学者もそれと同じなのかどうなのかは気になるところです。
培養肉自体まだ実用化しておらず発展途上の分野であるのでどれくらい倫理学者から注目されてるかわかりませんが回答お願いします。

2017年04月10日

過激とされる動物倫理の思想に対する学会の反応について

投稿者:AAA

一般的にピーターシンガーの「自己意識や快楽・苦痛の感覚が将来も見込めない重度の障害新生児に対する積極的安楽死は道徳的にも擁護されうる」という主張やトム・リーガンの権利論などはそういったものに疎い層からは過激な考え方とされますが実際の動物倫理学会での間ではどのように見られているのでしょうか?

あるところで聞いたものによるとヴァーナーなどが言うに多くの動物倫理学の権利論者はリーガンなどを除けば動物を犠牲にする制度の完全な撤廃を求める人は多くないとも聞きましたが実際どうなんでしょうか?

2016年02月24日

喫煙が正当化される条件とは?

投稿者:鳴海

近年、ベランダでの喫煙などにも厳しい目が向けられていますが、どのような条件が満たされれば、喫煙を正当化できるのでしょうか?

2016年02月24日

生命倫理の議論に意義はあるか

投稿者:オダジョ

生命倫理を勉強しています。
一つ引っかかることがあります。
生命倫理のさまざまな議論は、どこまで意義があるのかということです。

たとえば生命倫理の議論には、生まれてくる子供をできるだけ望ましい形質にするよう出生前の段階で介入すべきだ、等の過激なもの
があると思います。そういった過激なな議論を反駁しようとする議論もたくさんあると思います。 このような論戦は、時間はかかるかもしれないですがいつか決着がつくのかもしれません。議論の応酬を追い、自分も考えてみるというのはとてもエキサイティングだと私は思います。

しかし私は、こうした論戦に決着がつくことに果たして現実的に意義があるのかどうか疑問に感じてしまいます。というのも、さまざまな議論がある中でどの議論が正しいとされ、政策等に採用されるかや、もっと言えばどのような議論が「反駁すべきすもの」とみなされるのかは、実際には単に人々のムードで決まっているように感じられるのです。

もちろん、哲学者たちは議論の営みを決して気分のままにやっているのではなく、純粋に議論に穴があるから互いにそれを指摘し、代案を提出しつづけているのだと思います。

しかし人々が実際の生活で実践の根拠に採用する議論は、たんにその時のムードに都合のいいものに限られるように思えてしまうのです。例えば、冒頭で挙げた過激な議論などは、現時点ではいくらそれを支持する論証を積み上げたところで、人々の実践においては黙殺されてしまうというのが現実ではないでしょうか。

また実践の根拠としてそれに反対する議論を援用するとしても、「この過激な議論はダメだということにしておいたほうが居心地がいいからこの反論を採用しよう」という動機でそうしているのではないか、と思えてしまいます。 逆に人々のムードが変わって、現在の感覚では過激な議論が好まれるようになれば今度は、議論に穴があるにもかかわらず過激な議論を正しいものとして実践の根拠に採用しようとする、ということも考えられます。そうしたムードの中では、人々はその議論に対する反論を軽視するようになるのではないかと思います。

もし現実がそのようなものであるなら、純粋に論理的に妥当な議論を見つけようとする試みには、いったいどこまで意義があるのでしょうか。人々はだれもそのようなものを求めていないのかもしれないのではないですか。

結局生命倫理の議論の意義は、その時のムードに都合のいい議論を提供することにすぎず、様々な議論はつまみ食い的に利用され古くなれば捨てられるのがオチ、ということになってしまわないでしょうか。人々のムードを作り出すのは洗練された議論であり、そのような議論を見つけるのが生命倫理の議論の意義である、とも考えられるかもしれません。

しかし、ムードというのは理性的な議論によるよりも、人々の生活のなかでの感覚が醸成されてできていく部分が大きいものであるように思われるので、ムードづくりにおいて議論がどれだけの意義を持つかは疑問に感じられます。人々の感覚を言語化する意義がある、と
いうことになるんでしょうか。

混乱した文章になってしまったかもしれませんが、ご意見いただければ幸いです。

2016年01月25日

人前で裸になることは道徳的にいけないのか

投稿者:ジュネ

最近になって哲学に興味を持ちました、京都大学の文学部の2回生のものです。
よく電車の中で化粧をするのはよくないとか、人前で鼻をほじってはいけないだとか「人前で許されない行為」ということがいくつかあって気になってます。私個人としては化粧は特に気になりませんが、鼻をほじられるのは少しいやな気がしています。
さて、ではなぜ「人前で裸になるのはいけない」のでしょうか。一応これは上半身だけを考えています。私自身は別に女性の裸を見ていやな気はしませんし、女性だって男性アイドルの上半身を見ることだったらいやな気はしないでしょう。
以前読んだ本で、人前で裸になることがいけないのは性的羞恥心を見られる人見る人の間に喚起するからであると書いてありました。私は最初は納得しましたが、あとあと疑問を感じ始めたため、今回質問させてもらいました。
ちなみに、暴力事件に巻き込まれるなどリスクはあり得ますが、今回は、人前で裸になることのある種の道徳的な不快感とか非難の可能性を念頭に置いています。
さて、その本では、性的羞恥心は、肌を隠そうとしているのに、露見した時に最も喚起されるとありました。いわゆるチラリズムというやつですかね。
ということはみんなが裸になってしまう社会では、人前である一人が裸になったところで、隠すものという発想がないので、性的羞恥心は喚起されないということになると思いますがいかがでしょうか。
私がもやもやを感じるのはもしこの例で性的羞恥心が喚起されないならば、今の社会で裸になることがお互いの内に性的羞恥心を喚起し、それゆえに人前で裸になることが悪いことであるのだとしたら、たまたまそのような社会にいるということで、善し悪しが決まってしまっているような気がして、すごく違和感を感じます。
それとも、裸になるのがいけないのはそもそも別の理由によるのでしょうか。それとも人前で裸になるのは法律で禁じられているだけで、そもそもいけないことでもなんでもないのしょうか。

2015年12月03日

幸福であることと不誠実

投稿者:kada

患者の最善の利益 best interestsを考えるとき、これは幸福と考えてよいと思います。
この幸福ですが、中島義道は『不幸論』で、「幸福とは、盲目であること、怠惰であること、狭量であること、傲慢であることによって成立している」と言っています。

つまり、ある程度不誠実な生き方でないと幸福にはなれないということですね。
この場合、多くは公正原則との対立になろうかと思います。ポール・ファーマーが『権力の病理』で指摘する点ですし、ピーター・シンガーも公正原則は重視しているように思います。

ここまで考えた場合、best interestsとは何なのかよく分からなくなってきます。
他者が、患者の「最善の利益」を考える時、「患者が不誠実に生きたい」と仮定して結論を出すのが善いことなのか???う~ん、よくわかりません。

それとも現実的に、生命倫理は最善の利益を検討する際の考慮する範囲を限定している(善くないことだと思っているが、現実的に限定せざるを得ない)のでしょうか。

幸福が自己の主観である限り、結論の出ない(出にくい)話なのかも知れませんが、生命倫理では、幸福という概念をどのように捉えているのかご教授いただければ幸いです。

2015年10月01日

死体からの強制的臓器抽出についての質問

投稿者:satoko

ジョン・ハリスは、死体から強制的に臓器を抽出し、臓器移植が必要な人々に提供するべきである、と主張していますが、これについてどのような批判があるのでしょうか?

権利(自己所有権とか生命権など)の帰属主体は死亡しており権利行使はできませんし、意識も感覚もないので選好を持つことも快苦を感
じることもありませんし、どのような批判が可能なのでしょうか。

超自然的な何かに訴えたり、遺族の権利及び選好や死亡者の生前の権利行使及び選好を考慮すべき、といった批判になるのですかね(見当違いだったらすみません…)。

2015年08月13日

イヴァン・イリッチの「負の価値」

投稿者:匿名希望

イヴァン・イリッチは『脱病院化社会』で、病苦の持つ「負の価値」に触れています。科学技術、とくに生命科学・医学は、病苦を取り去るべく努力を重ねてきましたが、生命科学・医学が目指している社会は、本当に人類が理想とする社会なんでしょうか。
痛みや苦しみのない社会では、哲学や宗教は生まれなさそうだし、イリッチは、そのような“麻酔された社会”では、人々は次第に強い刺激を求めるようになり、生きているという感覚を得るために、“薬物、暴力、恐怖”を求めるようになると言います。

同じようなことをルネ・デュボスも『健康という幻想』で言っていますね。

イヴァン・イリッチのいう「負の価値」という考えを単純に正当化していいものかどうか分かりませんが、生命倫理ではどう扱っていけばいいのでしょうか。

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回答者一覧

児玉 聡 ( 京都大学・文学研究科、倫理一般)
佐藤 恵子 ( 京都大学・医学部附属病院、生命倫理)
鈴木 美香 ( 京都大学・iPS 細胞研究所、研究倫理)
長尾 式子 ( 神戸大学・保健学研究科、看護倫理)

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