私は生命倫理学の素人なのですが、今年の9月からアメリカの大学でメディカルスクール志望の学部生向けに15週間の生命医療倫理学の授業をおこなうことになりました。そこで、一般に生命倫理学の授業計画を行う際に参考になるようなサンプルシラバスやアクティビティーなどに関する情報が掲載されているウェブサイトや書籍などをご存知でしたらご教示いただけないでしょうか。
また、私自身素人のため、一から生命医療倫理学を勉強する必要があるので、生命倫理学一般への英語の入門書でできれば人工妊娠中絶や安楽死いった古典的なトピックだけでなくaffordable care actなど近年の動向もカバーしているものをご存知でしたらご教示ください。
ちなみに、教科書にはSteinbock, London, and Arras (eds). (2013). Ethical Issues in Modern Medicine: Contemporary Readings in Bioethics. 8th edition. McGrawHill.が指定されています。
ご質問ありがとうございます。サンプルシラバスについては、ジョージタウン大学のKennedy Institute of
Ethicsのライブラリーが、以下のサービスを提供しています。以前はハードコピーを郵送してくれていましたが、デジタル化したようです。
Bioethics Syllabus Exchange Repository
https://bioethics.georgetown.edu/library-materials/digital-collections/bioethics-syllabus-exchange-repository/
ちなみに、ジョージタウン大学では生命倫理集中コースを開催しています。
今年は6月2日からなのですでに〆切を過ぎていると思いますが、来年度以降に受講されることをお勧めします。米国内では、類似の集中コースを提供している大学が他にもあるかと思います。
https://kennedyinstitute.georgetown.edu/events/intensive-bioethics-course-41/
米国の生命倫理の教科書の定番は、やはり
Beauchamp & ChildressのPrinciples of Biomedical Ethics
かと思います。まだオバマケアのところまではカバーしていないですが、正義の問題として、医療アクセスについて論じているところが参考になるかと思います。日本語でよければ、手前味噌ですが、赤林朗編の『入門・医療倫理I』を読むとてっとり早いと思います。
今後も何かご質問があればいつでもお願いします。
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追記:先日お答えしたときにすっかり忘れておりましたが、米国の大統領生命倫理委員会が2013年から生命倫理教育のフリーの教材をウェブ上で提供しております。こちらもご覧ください。
大統領生命倫理委員会ウェブサイト:http://bioethics.gov/education
教材についての説明:http://blog.bioethics.gov/2013/09/30/pedagogical-materials-in-support-of-bioethics-education/
https://www.youtube.com/watch?v=k4nIhHLukjY
また、英国ではナフィールド生命倫理カウンシルが、同様に教材を提供しています。ご関心があればこちらもご覧ください。
ナフィールド生命倫理カウンシル:http://nuffieldbioethics.org/education/