従来の哲学の視野の「外」に置かれていた「現実の問題」に目を向け、それとの格闘を通じて、哲学知を磨き上げつつ、現実に対する処方箋をも描く。それが「応用哲学」ないし「応用倫理学」という営みです。ここにあるのは、単なる、既成の「知」の一方通行的な「適用」ではなく、具体的な問題に向き合うことで、その「知」そのものを革新しようとする志です。言うまでもありませんが、このような試みにとっては、他領域との共同や、様々な「現場」で課題と直面している人々との連帯こそが命綱となります。また、多様な問題が複雑に絡み合った現実に対処するためには、「哲学」と「倫理」という、日本のアカデミズムが明治以来引きずってきた学的区分はもはや意味をなしません。応用の現場では、哲学と倫理学の垣根を超え、哲学知の総力を結集することが求められているのです。本センターが、いわゆる「哲学研究者」と「倫理学研究者」の密接な連携の下で運営されているゆえんです。